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京の老舗めぐり コラム バックナンバー

    京のコラムのバックナンバーを掲載しております。
    宜しければ是非お暇つぶしにご覧ください。

    まちなか

  • ■元離宮・二条城の愛された形(2015/1/20)
  • 二条城は不思議なことに、城と付いていながら現在お城ではない。

    ややこしいことを書きましたが、京都のまちの人には馴染みがありすぎてあまり気にとめない二条城。 ここは言わずと知れた徳川家康が京都御所の護衛と宿泊所として造営しました。 その後、持ち主は順に代わり、その度に整備が加わり、最後は十五代将軍義喜の大政奉還で江戸幕府が終了、 二条城の所有権は朝廷に渡り離宮の一つとなります。 さらに、昭和初期(昭和14年、1939年)京都市に下賜の形でまたまた所有権が移り、翌年一般公開の開始、現在に至ります。 (京都市の持ち物になると所有権というよりも管理権ですね)だから、 元離宮二条城が本名の二条城は今お城ではないという説明になりました。

    こちらの元離宮二条城、そういう背景があったからか、はたまた今の所有が行政だからか、 日々様々な振れ幅の広いイベントが行われています。金魚を泳がせてみたり、 建造物壁面にデジタルアートを照射してみたり、更には結婚式場に活用してみたり、 もはやアミューズメント等のためのイベント施設のような気配もありますが、やはり奥深いことをお伝えさせてください。
    特にかつての状況を想像させてくれる設備、設えはやはり鳥肌もので、 調度品なども一つ一つ素晴らしい古美術として今に生きています。 万とあるインターネット情報でそれらは簡単に写真閲覧することが出来るのですが、 個人的には四季や情勢と共に変わってきた、リアリティある美しさを秘めた庭園周遊をお勧めします。
    元離宮二条城には江戸時代に造園された二の丸庭園、次に明治時代にできた本丸庭園、 最後に昭和時代に完成した清流園と3つの庭園があります。それらは其々に高い評価を得ていて、 2005年には米国の日本庭園専門誌である「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」において 日本全国693エントリーの中から清流園(5位)、二の丸庭園(10位)が選ばれました。 翌年2006年には731エントリーの中で清流園(6位)、二の丸庭園(8位)がランクインしました。 (via 元離宮二条城サイトhttp://www.city.kyoto.jp/bunshi/nijojo/teien/index.html)
    中でも清流園は、昭和時代進駐軍の意向でテニスコートに転用された後に造園され、今に至っています。 所有者が度々移ったと冒頭申し上げましたが、こちらも例にもれず、その度、用途も益々変容を重ねてきたのです。 それが今の形になっていることは、運命がのしかかっていると言っても過言ではなく、 それでも今もなお美しい評価を受けるのは、変化の度にきちんと愛され続けてきたからだと言えます。 ある時は河原町二条にあった旧角倉了以の屋敷の一部の庭石や庭木等を無償で譲り受けるという愛を受け、 他には全国から集めた名跡、篤志家からの寄贈のものなどを使うことを許されると言う愛を受け、 命名者は当時の高山義三市長というその時々のトップからの寵愛を受け続けたと理解出来ます。
    勿論、他にも多くの名園が数多くありますが、元離宮二条城の庭園周遊の際は そんな愛を受けて成り立ってきた形状に想いを馳せてみてください。


  • ■お正月と京のまちなか(2015/1/6)
  • 皆様あけましておめでとうございます。本年もどうぞ御贔屓に宜しくお願い申し上げます。 さて、年末12月のスピードは速く、いつの間にか年の瀬に差し掛かり、あっという間にお正月シーズンが到来し、 一瞬にして年が明けます。京都のまちなかでも錦市場ではお正月のお節材料が売り出されたり、 ギフト商品なんかを扱うお店はクリスマスプレゼント用の商品とお正月用の商品を同時並行で準備したり、 その後は年度末からの新年度用製品がずらりと並び、ハッピーが続くシーズン故のわくわく感に溢れています。

    さて、この老舗めぐりのツアー、手前味噌ではありますが、なんともそんな時に重宝するセレクトになっていて、 例えば月曜のコース鈴木松風堂でお正月柄の紙を使ったぽち袋やクリスマスと両刀使いできるリース兼お正月飾りの材料を調達したり、 はたまた新年度用の新しいノートや文房具用品といった机周りの設えも準備したり、お裁縫好きの御方には 三條本家みすや針でお裁縫セットを奮発して揃えてクリスマスプレゼントにし、お正月着物のお繕いに使ってもらって、 その着物を着て次は入学式等々のイベントに参列というスムーズな活用。 にほひ袋の石黒香舗ではクリスマスとお正月と両方用の玄関飾りを選んで、2~3月に掛けて徐々に春らしい飾りに変えて行き一気に桜! と楽しんだり、一つのコースとっても間違いのないセレクトで相手をうならせること間違いなしに出来ているのです。 と、随分手前味噌な書きぶりになってしまいましたが、ここで少し個人的なお話を。

    木曜のコースにある津之喜酒舗で、毎年お正月を過ぎた2月の立春の頃出してもらえる特別なお酒があります。 その名も立春朝絞り。立春のその日の朝にしぼりたてのものをそのまま瓶詰めし、 出荷されるフレッシュな泡立ちもすこぶる元気なお酒のことを言います。扱っていないことも多いこのお酒、 錦で手に入れるという格もついて、しかも美味しい。クリスマス、お正月、そして遂に立春!という頃あいを見込んで 予約しておくのも乙、特にこれを頂くと一年素敵なことが起こることが約束される、とも。 来年は立春朝絞りで初春をしのびながら新しい春を愛でるのもネオ京都流かもしれません。
    というわけで、皆さま本年もどうぞ宜しくお願い致します。


  • ■寒くなって、ずーんと寒さがしみ入る京都で快適に(2014/12/17)
  • 朝晩だけでなく、日中も「秋冬」の気配が徐々に隆盛を極める京都です。「身体の冷えは病のもと」とは良く言われますが、 盆地の京都ならではの「京の底冷え」を快適に過ごす昔ながらの知恵が今もなお受け継がれています。

    例えば食生活では、「まごわやさしい」を取り入れた身体を温める食生活。老舗めぐりでも食べ物屋さんや材料屋さんが幾つかありますが、 (豆類)ご(胡麻などの種実類)、わ(若芽などの海藻類)や(野菜類)さ(魚介類)し(椎茸などの茸類)い(芋類)をふんだんに取り 入れたお食事は世界的にも見直され絶賛されています。でもこれ、実は普通に日本人ならではの和食生活を送っておれば簡単にとることが 出来ます。

    ここにプラスアルファして、精進料理の材料である湯葉を「ま(豆類)」で入れたり、アルコールでは一番身体を温めると分類される 日本酒を飲んだり、お菓子も油の多い洋菓子を少なく、「ご(種実類)」の使われることの多い和菓子中心にしたり、日本ならでは =京都の得意分野に着目すればするほど、それが日本人の身体にも合っていることにも気付かされます。

    京都のまちを巡るとそんな和文化の宝庫であることに、慣れた今でも見かけては、出合ってははっとすることが度々あります。 自分のルーツを探ると、また一つ先の未来が見えると言われますが、そんな記憶軸も左右に触れる楽しいまちあるきが出来ると良いですね。


  • ■東寺と宝物(2014/11/26)
  • まちづくり交通研究所の事業では、色々なバスを走らせています。例えば世界遺産を巡る「京都ひるバス」や、観光地を巡る 「京都観光よるバス」などが頑張っておりまして、「おたねさんエクスプレス」こと「東寺・水族館・西本願寺エクスプレス」 という長い名のバスも兄弟事業として頑張っております。そして、それぞれ通ったり関連したりする重要な寺社仏閣のうちの一つが東寺です。

    東寺は、我が国唯一残る平安京の遺構。1994年には世界遺産として登録されているとても重要なお寺です。 京都には有り難いことに世界遺産が溢れているので、東寺もその一つとして(失礼な表現になりますが) さらりと見学して次に移動してしまう観光客も多いようです。

    しかし、この東寺、見どころを知るとより堪能出来る事に間違いありません。その見どころ=重要ポイントは「密教美術の宝庫」 である点です。寺には幾つもの国宝(五大明王像、御影堂等)が安置され、他にも古建築や仏像、絵画、書籍等で溢れています。 一つのお寺の中にこれだけの宝物が安置されているのは注目せざるを得ない点と言っても過言ではないでしょう。季節ごとに 一般公開でその宝物を拝見することが出来るのはとても貴重な機会。それに合わせて訪れられることを強くお勧め致します。

    そんな、静かな佇まいながら力強く今に残る宝物に溢れている東寺で、今、日常的な宝物=掘り出し物に出合えるのが弘法市です。 弘法市は毎月21日に境内で実施されています。何度か訪れたことはありますが、その熱気と高揚感たるや、初めての方も 必ず楽しめる京都的なアミューズメントな趣を感じる事が出来ます。特に骨董品は朝出向けばそれを生業にしている方々も 集うため一見の価値あり。買う気が無く値段交渉するのは野暮ですが、本気のお商売の方々とは別に、趣味で気に入った 個人的な琴線に触れる宝物探しをして交渉の上手に入れるのはなんとも悦。洋ものから和ものまで幅広く並ぶその茣蓙の上に めくるめく世界観は老若男女楽しめない訳がありません。夏場は炎天下でかなり体力消耗が激しいので、春、秋など良い季節がやはりお勧め、 コンビニのお水も良いですが、お寺にはお菓子屋さんが付きもの、近隣をぐるりと見渡せば入口付近に茶屋が 必ずと言っていいほど見つかります。そこで冷やしあめやサイダー水を頼むのが場も心も溶けあう最良マリアージュかと思います。

    秋の東寺も、誠に素晴らしい。


  • ■秋の京都をシルブプレ(2014/10/22)
  • 徐々に秋の深まる京都です。
    京の老舗めぐりサイトでは少しずつコラムを掲載していくことにしました。 このサイトを訪れて頂くと「今の京都」を肌で感じて頂けるような旬な情報が得られる、そんな場所を目指したいと思っています。
    さて、盆地ならではの蒸し暑い日々を乗り越えた京都では、息をのむ景色が広がる紅葉狩り、 秋の味覚を堪能できるレストランや料亭訪問、芸術の秋ならではの企画の組まれた美術館巡りと、 益々観光ウェルカムのゴールデンシーズンに突入します。京都人もこの季節は何かとわくわくする小さい行事から地元のお祭り、 その他大々的なキャッチコピーで繰り広げられる京都ならではのイベントに心弾む楽しみな季節になります。
    京の老舗めぐりの店舗は勿論、まちじゅうのお店や施設が観光シーズン到来に本腰を入れ、 熱くなるのを肌で感じる頼もしい季節。それぞれのシーズン一押し商品や特別企画なども実施されることが多いので、 是非少しばかり事前に観光情報を流し読みしてから挑まれるとより楽しい滞在になるかと思います。 (よろしければ、京の老舗めぐりもご利用くださいね!)
    今日は、そんな秋のスポットを一つご紹介したいと思います。やはり外せない京都の紅葉についてですが、 観光客で溢れる寺社仏閣には京都人は多少避けがちになります。それでも、一つくらいは訪れておきたいのが旬好きの京都人、 多少矛盾しているのがご愛嬌です。その一つとしてここでご紹介するのが東福寺。

    天に通ふ名をさへ架けて七夕の紅葉の橋はこれかとぞ思ふ
    (閑田詠草、秋歌)伴 蒿蹊(こうけい)

    紅葉の橋ともうたわれる通天橋は渓谷に掛けられた橋廊のことです。東福寺は起伏に富む地形を巧みに活用し、 橋を渡して伽藍が建つ特徴なだけに、その環境が生み出すドラマティックな光景との出合いは人生で忘れ難い瞬間となり 心の中に生き続けます。筆者も初めてあの光景に出会った時の感動は忘れられず、 こうして京都は人の心を掴んできたのかと思い知らされました。
    なお、この紅葉は開山聖一国師が宋国から持ち帰ったものと言われており、葉が三つに分かれて輝きの色を放ちます。 この地は正に、高雄、嵐山、清水寺と共に古来紅葉の名所です。
    ザ・紅葉はここ京都になむありける。と今も信じて止まない京都人にとって間違いなく心の拠り所の一つで有り続ける東福寺、 今年の紅葉もまた多くの人々に感動を与えてくれるに違いありません。なにはともあれ、 このシーズン人は多くとも京都への小旅行は至極お勧めであることに変わりありません。

    美しい紅葉の写真を撮ってサイトにもアップしたいと思いますので、乞うご期待ください。


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